AI時代のサイバー攻撃は、現場の業務にも直結する
医療機関のサイバーセキュリティは、情報システム部門だけの話ではありません。電子カルテ、オーダリング、検査結果、薬剤管理、勤務表、ナースコール連携などが止まれば、患者さんのそばで動く看護師の業務に直撃します。
厚生労働省は2026年5月22日、国会サイバー統括室と合同で、医療関係団体とのAIによるサイバー攻撃とサイバーセキュリティ対策に関する意見交換会を開催しました(Source: 厚生労働省フォトレポート)。高性能AIの登場によりサイバー攻撃の脅威が増大すること、医療DXを進める中でサイバーセキュリティ対策が重要であることが示されています。
この記事では、看護師が職場で確認したい訓練・BCP・電子カルテ停止時の現場手順に絞って整理します。
判断材料になる一次情報
この記事は、以下の情報をもとにしています。
サイバー攻撃を完全にゼロにすることはできません。看護師にとって重要なのは、止まった時に現場が混乱しない仕組みがあるかです。
電子カルテが止まると現場で起きること
電子カルテ停止時、看護師の業務では次が問題になります。
| 業務 | 止まると困ること |
|---|
| 与薬 | 最新処方、変更指示、禁忌、アレルギー確認 |
| 検査 | 検査予定、結果確認、緊急値の共有 |
| 記録 | 観察、処置、申し送り、時系列の保存 |
| 入退院 | 病床管理、転棟、退院調整 |
| 申し送り | 最新情報の抽出、夜勤への引き継ぎ |
| 医師指示 | 口頭指示、指示変更、実施確認 |
紙運用に切り替える手順が決まっていないと、現場では「誰が最新情報を持っているか」が分からなくなります。
職場で確認したいBCP項目
自然災害のBCPはあっても、サイバー攻撃・システム障害のBCPが弱い職場はあります。確認したい項目は次の通りです。
- 電子カルテ停止時の紙記録様式が用意されているか
- 与薬、検査、処置、医師指示の紙運用手順があるか
- 紙運用に切り替える判断者が明確か
- 部署ごとに紙運用セットの保管場所が決まっているか
- 復旧後に紙記録を電子カルテへ戻す手順があるか
- システム障害時の連絡網があるか
- 夜勤帯・休日でも同じ手順で動けるか
- 訓練が年1回以上あるか
BCPはファイルに入っているだけでは不十分です。現場が使える形で訓練されているかが重要です。
看護師個人が平時にできること
サイバー攻撃の防御は経営・情報システム部門の責任が大きい領域です。ただし、看護師個人にも平時にできることがあります。
- 不審メールや添付ファイルを開かない
- 共有IDやパスワードの使い回しを避ける
- 端末をログインしたまま離席しない
- USBメモリなど外部媒体の扱いをルール通りにする
- システム障害時の紙記録様式の場所を知っておく
- 口頭指示・与薬・検査確認の緊急時ルールを知っておく
- ヒヤリハットとしてシステム上の不安も共有する
個人の注意だけで防げるものではありませんが、現場の小さな行動が被害拡大を防ぐことはあります。
面接・見学で聞く質問
DXや電子カルテが進んでいる職場ほど、停止時の備えも確認します。
- 電子カルテ停止時の紙運用訓練はありますか?
- システム障害時、与薬・検査・医師指示はどう確認しますか?
- 夜勤帯にシステムが止まった場合の連絡先は明確ですか?
- サイバーセキュリティ研修は勤務時間内にありますか?
- BCPにサイバー攻撃やシステム障害は含まれていますか?
- 復旧後の記録転記は誰が、どの時間で行いますか?
- 現場だけに負担が集中しない体制がありますか?
「情報システム部門がやっています」で終わる職場より、現場手順まで説明できる職場の方が安心です。
危ないサイン
次のような職場は、電子カルテ停止時に現場混乱が起きやすいです。
- 紙運用訓練をしたことがない
- BCPが災害だけで、サイバー攻撃を想定していない
- 紙記録様式の場所をスタッフが知らない
- 夜勤帯の連絡先が曖昧
- 復旧後の転記が「現場で何とかする」になっている
- セキュリティ研修が形式的で、現場業務に結びついていない
- 不審メール訓練や端末管理ルールがない
サイバー対策の弱さは、いざという時の記録・与薬・確認の負担として看護師に返ってきます。
まとめ
厚生労働省がAIによるサイバー攻撃と医療機関の対策について意見交換を行ったことは、医療DXとサイバーセキュリティがセットで考えられる段階に入ったことを示しています。
看護師が確認すべきなのは、専門的なセキュリティ用語ではありません。電子カルテが止まった時、与薬、検査、記録、医師指示、申し送りをどう安全に続けるかです。
職場選びでは、DXの便利さだけでなく、止まった時の訓練とBCPを確認しましょう。
よくある質問
サイバー攻撃対策は看護師の仕事ですか?
防御の中心は経営・情報システム部門ですが、現場の端末管理、不審メール対応、障害時の紙運用理解は看護師にも関係します。
電子カルテ停止時の訓練は必要ですか?
必要です。紙運用は、やったことがないと夜勤帯や急変時に混乱します。与薬・検査・医師指示の確認手順まで訓練されているかが重要です。
サイバー対策が弱い職場は転職すべきですか?
すぐに転職と決める必要はありません。まずBCP、訓練、紙運用、連絡網を確認してください。改善されない場合は、職場比較の重要な材料になります。
参考資料
はたらく看護師さん 求人
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